宇土櫓が姿を消した日。熊本地震から続く復旧の記録
熊本城の天守閣西側、平左衛門丸の北西に建つ「宇土櫓(うとやぐら)」は、熊本城を代表する建造物の一つです。
加藤清正による築城当時の姿を今に伝える貴重な多重櫓で、その堂々とした佇まいは天守閣にも引けを取らない迫力があります。一目見ただけでは天守閣と見間違える人もいるほどの規模と風格を備えていることから、「第三の天守」とも呼ばれ、多くの人に親しまれてきました。

撮影日:2021年12月
手前右側が宇土櫓、その奥右側が大天守、左側が小天守です。
宇土櫓は五階櫓と続櫓の二つの建物で構成されており、歴史的・文化的価値の高い熊本城のシンボルの一つでもあります。

撮影日:2006年5月(熊本地震前に撮影したもの、五階櫓と続櫓が見えます)
しかし、2016年4月14日と16日に発生した熊本地震によって、宇土櫓も大きな被害を受けました。続櫓は倒壊し、五階櫓は倒壊こそ免れたものの、床のゆがみや柱の傾斜など深刻な損傷が確認されました。長年熊本の歴史を見守ってきた宇土櫓が被災した姿は、多くの市民に大きな衝撃を与えました。
その後、本格的な復旧工事に向けて解体作業が始まり、それに合わせて宇土櫓解体の特別公開も実施されました。

撮影日:2024年2月撮影(宇土櫓に素屋根が組み立てられていました)
普段は決して見ることのできない解体現場を間近で見学できる貴重な機会ということもあり、私も毎月開催される公開日に足を運び、その様子を見守りました。
訪れるたびに解体は少しずつ進み、それまで見慣れていた宇土櫓の姿が少しずつ変わっていきます。屋根が外され、梁や柱が姿を現し、築城当時の技術を感じられる一方で、長年親しまれてきた櫓が姿を消していく様子には寂しさも感じました。




そして最後の特別公開の日には、あれほど威風堂々と建っていた宇土櫓の姿は完全になくなっていました。
何度も訪れた場所だからこそ、目の前に広がる景色の変化に時の流れを感じ、感慨深い気持ちになったことを今でもよく覚えています。
現在、宇土櫓は部材を一つひとつ調査・補修しながら復旧工事が進められており、完成は2032年度の予定とされています。

しばらくの間、あの雄大な姿を見ることはできませんが、長い年月をかけて再びその姿がよみがえる日を楽しみに待ちたいと思います。
そして復旧した宇土櫓を目の前にした時には、その歴史の重みと復興への歩みを改めて感じながら、しっかりとその姿を目に焼き付けたいと思っています。
徐々に復旧していく熊本城や2032年度に完成を予定されている宇土櫓をぜひ多くの方にご覧いただければと思います。

2023年3月撮影
再び、満開の桜とともに堂々と佇む宇土櫓を見学できる日を楽しみに待っていたいと思います。
